パデルのペアは、コートを中央で2つに分けて担当します。その境界が、試合の流れや、それぞれのショットをどちらが担当するかを左右します。右側と左側の選手では、受けるボールも、打つショットも、担う役割も異なります。試合最初のリターンから、試合を締めくくるスマッシュまで、その違いが関わります。

Qatar Airways Premier Padel Tourのトップレベルでは、この役割分担が明確なため、プロ選手の大半が競技人生を通じて片側でプレーします。それぞれのポジションで求められること、右側と左側の選手に見られる特徴の違い、そして世界最高峰のパデル選手4人がそれをどう実践しているかを紹介します。

パデルコートの左右の分け方

自陣のベースラインの後ろに立ち、ネットを見てください。右側の選手はコートの右半分を担当します。プロツアーの選手の大半が話すスペイン語では、この選手をdrive、またはjugador de derecha(「右側の選手」または「フォアハンドの選手」)と呼びます。左側の選手は左半分を担当し、revés(「バックハンド」)と呼ばれます。

2人とも右利きの場合、この配置はプレーに大きく影響します。左側の選手はコート中央側がフォアハンドになり、右側の選手は中央側がバックハンドになります。そのため、中央を通るボールの大半は左側の選手が担当します。2人の間へ流れてくるロブや、頭上で打つボールの大半も同様です。

得点状況も関わります。右側の選手がサーブをリターンするのは、0-0、15-15、30-30、40-40です。左側の選手は、15-0、0-15、30-15、15-30、40-30、30-40、40-0、0-40と、すべてのアドバンテージの場面でリターンします。つまり、ゲームポイントやブレークポイントのかなりの割合が左側でプレーされます。ペアが最も勝負を決める力のある選手を左側に置く、主な理由の1つです。

ルール上は、誰がどこに立っても構いません。それでも、プロのパデルが数十年にわたって続くなかで、明確な傾向が定着しました。右側がポイントを組み立て、左側が決めるという形です。

右側:優れたdriveに必要な技術

右側の選手は、1球ずつ相手を苦しい状況に追い込むことで勝ちます。まず大切なのは安定性です。パートナーよりもコート後方から打つボールが多いため、コーナーで守り、後ろのガラスや側壁からボールがどう跳ね返るかを読み、毎回、深く、または低く返す必要があります。

このポジションでは、ほかのどの場所よりもバックハンドが重要です。中央側がバックハンドになるため、driveの選手はボレーをブロックし、腰の位置に来たボールを守り、コーナーからバックハンドでクロスへ打ち返します。右側でバックハンドが弱いと、数ポイントのうちにその弱点が露呈します。

サーブのリターンも重要な仕事です。右側の選手は最初にリターンするため、各ゲームの流れをつくります。そのため、相手のサーブに対して、サーバーを後方にとどめる返球が必要です。足元へ低く返すか、相手2人をガラスまで下げるロブを使います。

さらに、後ろの壁から跳ね返ったボールをフォアハンドで打つショットがあります。bajada de paredとも呼ばれます。ロブがバウンドしてガラスから戻ってきたとき、優れた右側の選手は、1回のスイングで守備的な状況を攻撃のショットへ変えます。

右側の選手は、忍耐強く、足の動きが素早く、長いラリーを苦にせず、守備力に優れている傾向があります。ペアの進む方向を決める役割を担うこともよくあります。どこへ打てば隙間をつくれるか、いつポイントの展開を遅くするか、いつパートナーが決められるボールをつくるかを判断します。

Juan Lebrón:攻撃を身につけた右側の選手

この競技で最も影響力のある選手の1人、Juan Lebrónは、現在、スマッシュの名手Leo Augsburgerと世界3位のチームを組んでいます。右側の選手を守備の専門家とする従来の考え方を変え、攻守の切り替えを軸に多彩なプレーをする攻撃の武器となりました。左側の選手とほぼ同じくらい攻撃やスマッシュを行える存在となり、現代パデルの顔の1人になりました。Alejandro Galánと組んだペアでは、3年連続で世界ランキング1位を維持し、競技をより速く、より攻撃的なスタイルへと押し進めました。

Lebrónは今も右側の基本を実践しており、それをほぼ誰よりも上手にこなします。コーナーを守り、中央ではバックハンドでプレーし、リターンを深く返します。特に際立つのは、守備から攻撃へ移る速さです。ガラスまで下げられるロブに対しても、壁から戻ったボールを強烈なフォアハンドで返すことがよくあります。相手がネット前を0.5秒でも空ければ、彼はもうそこへ出てボレーを打てる位置にいます。

2026年は、ツアーで最も強烈なスマッシュを打つ選手の1人、Leo Augsburgerと組んでいます。Lebrónがポイントを組み立て、Augsburgerが中央の高いボールを担当します。ペアは4月のBrussels P2決勝でArturo CoelloとAgustín Tapiaを破って優勝し、バルセロナで行われるシーズン最終大会、Premier Padel Finalsへの出場権を獲得しました。

Delfina Brea:守備をプレッシャーへ変える

現在、女子で世界1位のDelfi Breaは、右側の選手が試合にどう臨むべきかを示す、教科書のような存在です。主な強みは安定性と正確さですが、攻撃へ移る準備ができている点が、より「伝統的な」右側の選手との違いです。

Breaは、左側を担当するGemma Triayと組んでいます。2人の戦い方は、長く厳しいラリーを軸にしています。Breaはコーナーで相手の攻撃を受け止め、深く返しながら、相手が位置を崩す瞬間を待ちます。その瞬間が来れば、前へ出ます。ネット前での速いボレーの応酬に強く、頭上のショットも安定しているため、相手は単に彼女の上へロブを上げて待つだけでは済みません。

この守備と、攻撃で決める力の組み合わせによって、Breaは卓越した左側の選手Triayとともに世界1位になりました。自分に厳しい姿勢と、最高の選手になりたいという思いが違いを生みます。「私は自分に厳しい人間です。それが自分を前へ進めてくれると信じています」と語っています。

2026年の成績も、それを裏付けています。TriayとBreaは、ローマのItaly Majorを含め、今シーズン6タイトルを獲得し、Paris Majorまでに行われた女子の決勝17回のうち14回に進出しました。この安定性こそ、右側の役割をうまく果たしたときに見られるものです。

左側:重要なポイントを取る技術

左側の選手は、通常、ポイントを決めるうえで、より大きな役割を担います。中央側がフォアハンドになるため、バックハンド側のポジションを担当する選手は、中央を通るボールや、パートナーとの間へ落ちるロブを処理し、パートナーが組み立てたポイントの大半を決めます。

左側の選手は、空中のボールを打つショットを習得しなければなりません。このポジションを代表するショットがスマッシュです。最高峰の左側の選手は、足元へ打つフラットスマッシュ、強いスライス回転をかけるvíbora、そして観客が立ち上がるほどの2種類のスマッシュを打てます。側壁を越えてコート外へ飛び出すx3と、後方のフェンスを越えてコート外へ出るx4です。これらを打つには、タイミング、脚の瞬発力、そして頭上にボールが来たときにそのショットを狙う自信が必要です。

左側には、鋼のような精神力も求められます。ゲームポイントやブレークポイントでリターンすることが多く、パートナーよりもプレッシャーのかかる場面に多く直面します。そのため、競った得点状況でも、しっかりと安定したリターンが必要です。

選手の特徴にも、この役割が表れます。左側の選手は、より背が高く、瞬発力に優れ、リスクを取ることをいとわない傾向があります。左のコーナーから角度をつける創造性と、リスクを取ったプレーの一部が失敗に終わることを受け入れる気質が必要です。

Alejandro Galán:パワー、タイミング、決め球

パデル史上最高の選手の1人、Alejandro Galánは、現在、守備の名手Federico Chingottoと世界2位のペアを組んでいます。男子ツアーの左側のプレーで、基準となる選手です。このポジションが求めるものをすべて備え、さらにそれ以上のものも持っています。リーチと速さによる最高水準のコートカバー、強烈なスマッシュ、ネット前での素早いラケットさばき、止められないフォアハンドとバックハンドのボレー、中央への強力なフォアハンド、そして最も競った場面で決め球を狙う自信と決意です。

Galánがこれほど危険な相手である理由は、ポイントを決める方法の多さにあります。浅いロブなら、轟くようなスマッシュでポイントを終わらせます。深いロブでも、コーナーでボールの勢いを殺すvíboraを打てます。中央にボールを残せば、相手のどちらも反応する前に、フォアハンドボレーで決めてしまいます。また、評判から想像する以上に守備にも優れているため、狙えるボールが来るまでラリーを続けられます。

Chingottoとのペアには、伝統的な役割分担が表れています。より小柄で驚くほど速いChingottoが右側を担当し、ほとんどすべてのボールを返します。Galánは左側で、決める機会を待ちます。2人はここ数シーズン、世界1位のペアに挑む中心的な存在となっています。

Bea González:左側で力を存分に発揮

継続して世界トップ4に名を連ねるBea Gonzálezは、左側で求められるプレーを実践しています。卓越したコートカバーを見せ、ためらわずにポイントを決めにいきます。スマッシュは女子パデルで最も強力なものの1つで、フットワークとプレーの激しさは比類がありません。相手の守備が完璧にはほど遠いときには、ボレー、ドロップショット、スマッシュで容易に優位をつくれます。

そのパワーを、総合力の高いプレーが支えています。Gonzálezはフォアハンドで中央を担当し、機会があるたびに前へ出て、アドバンテージのポイントでもためらわずにプレーします。相手は、彼女の側へロブを上げることにはリスクがあると分かっています。その認識が、試合全体のプレーの仕方を変えます。

2026年は、左利きの強打者Paula Josemaríaと組み、すぐに結果が出ました。3月下旬のMiami P1から5月中旬のBuenos Aires P1まで、5大会連続で優勝しました。女子の今シーズンで最長の連続優勝です。

左利き:ほぼ必ず右側でプレーする理由

左利きの選手が加わると、ここまでの明快な役割分担は複雑になります。コーチたちは、その点を理由に左利きの選手を歓迎します。プロレベルでは、左利きの選手は全員が右側でプレーします。

理由は、配置による角度にあります。左利きが右側に立つと、コート中央側がフォアハンドになります。左側の右利きと組めば、中央に2人のフォアハンドが並びます。通常は左側の選手のフォアハンドで処理する2人の間のボールに、強力な選択肢が2つ生まれます。相手はパデルで最も安全な狙いどころを失い、中央は弱点ではなくなります。

利点はそれだけではありません。右側の左利きは、その側からフォアハンドでスマッシュやvíboraも打てるため、2人とも頭上のショットで高いボールを攻撃できます。左利きの回転や角度も、競技人生の大半で右利きと対戦する相手にとっては、なじみの薄いものです。

引き換えに生じる不利な点もあります。右側に左利きがいるペアでは、2人ともバックハンドが側壁の方向を向くため、相手はコーナーを狙うことがよくあります。また、右利きと左利きのペアでは、2人ともフォアハンドが中央を向き、中央のボールを返すうえで同等の位置にいるため、混乱や意思疎通の行き違いも生まれます。それでも、コーチの大半は、左利きと組むことは通常、利点になると言うでしょう。フォアハンドで中央をカバーすることで、ポイントの大半が決まるエリアを守れるからです。

TapiaとCoello:互いを補う役割の手本

ツアーで最も分かりやすい例は、世界1位のペアです。Agustín Tapiaは右利きで左側を担当します。Arturo Coelloは左利きで右側を担当します。つまり、このスター選手2人は、強力なスマッシュと、正確で相手に強いプレッシャーをかけるボレーや空中のボールを打つショットで、中央をカバーします。

この組み合わせでは、中央に2人のフォアハンドがあり、2人ともすべての高いボールを攻撃できます。背が高く力強いCoelloは、右側の選手でも、できる選手がほとんどいないような形で、右側からポイントを決められます。この競技の歴史でも屈指の創造性を持つTapiaは、左側から繊細なタッチ、角度、即興のプレーを加えます。相手にとって、安心してボールを送れる場所がありません。

成績も、それを裏付けています。TapiaとCoelloは毎週、倒すべきペアとして大会に臨みます。2026年は、ここまでに開催されたローマとRoland Garrosの2つのMajorを含め、男子のほぼすべてのタイトルをGalánとChingottoのペアと分け合っています。

自分に合うパデルコートの側を見つける方法

クラブレベルでパデルをプレーするなら、自分に合う側を見つける最善の方法は、両方を試し、それぞれでどう感じるかに注意を向けることです。次のような特徴が手がかりになります。

  • 長いラリーが好きで、バックハンドに自信があり、ガラスを使って守ることを好み、ポイントを決めるよりも組み立てることに満足を感じるなら、右側の選手です。

  • 頭上のショットが強く、フォアハンドで中央を担当することを好み、重要なポイントでも落ち着いていられ、決め球を狙うことが好きなら、左側の選手です。

  • 左利きなら、右側から始めてください。中央側があなたのフォアハンドになることで、どの右利きのパートナーもプレーしやすくなります。

コーチは一般に、アマチュア選手に両側へ適応できる技術を身につけるよう勧めます。それでも、片側に絞り、できるだけそこでプレーして、そのポジションに必要な技術を磨き上げることを好む選手もいます。トップレベルでは、スター選手は通常、それぞれのポジションの専門家になります。

Lebrón、Brea、Galán、Gonzálezは全員、卓越した技術によって、どのような状況やポジションにも適応できます。例えばLebrónは、数年にわたって両方のポジションでプレーしてきました。それでも全員、同じポジションで何年もプレーするなかで、主な強みを築いてきました。彼らを優れた選手にしている習慣、角度の使い方、直感は、その繰り返しから生まれています。


RedBull.comの記事の日本語翻訳です。
原著者:Javier Romero
原記事:Padel positions explained: who plays right, who plays left and why
原文公開日:2026-10-06T15:38:59Z
原文更新日:2026-10-06T15:39:02.317Z
PADEL SPOT 翻訳公開日:2026-10-09